爺ヶ岳・南尾根〜爺が岳〜鹿島槍ヶ岳・赤岩尾根   
ジャンル
雪山登山
日 程 2004年12月23日(木)〜25日(土)
          〔2泊3日〕
メンバー S/Y(記録)

計1名
行 程

12/23 12:00車止め−13:10/13:30登山口−14:00ケルン−16:30地点1850m
12/24  7:00地点1850m−11:40JP−13:00地点2300m−14:45爺ヶ岳・南峰−   15:40地点2300m下
12/25 7:20地点2300m−8:40爺ヶ岳・南峰−11:45赤岩尾根下降点−13:15高千穂平−15:00登山口


12/23 登山口から地点1850m

12/23から12/26までの4連休予定であったが,12/26に所用ができ3連休となってしまった.とりあえず当初の予定である南尾根〜爺が岳(南・中・北)〜鹿島槍ヶ岳(往復)〜赤岩尾根で計画書を出し,東京を後にする.これまでに何度か通った中央高速で,甲府盆地を走り抜け,諏訪湖を迂回し,中央高速から長野自動車道に乗り,30才前半の思い出深い豊科で降りる.扇沢を目指し,冬季車止め横に駐車する.ナビの教える通りの道順である.

装備をザックに入れ,車止め先に続くアスファルト道路を柏原新道入り口まで歩く.途中,日本猿の群れが道端の草の実を食べている.逃げるのもいるが,チラッとこちらを見て,無視して,食べつづけているのもいる.この前は,入山時はカモシカ,下山時は2匹の猿が登山道の入り口で迎えてくれたが,今日は大勢である.ありがたいものである.

柏原新道入り口で,計画書を出し,さらにスパッツを着け登り始める.まだこの地点に雪はないが,すぐ,登るにしたがい浅い雪面となる.ネットで公開されている山行記録を読むと南尾根への取り付きは,雪の量,あるいは,季節によっても異なるようである.最も下部だと八見ベンチあたりから取り付き,今回では,典型的なケースの一つと思われる約1750m付近のケルン近辺から尾根に取り付いた.下見の時に赤布を取り付けてあり,他に古い赤布もある.ケルン手前まででは2箇所トラバースがちょっといやらしく感じられるが,問題になるほどの積雪量ではない.登山道入り口から,ここまで,トレースはない.おそらく,この上もないだろうと想像すると,これから先の厳しさが頭に浮かぶ.赤布に引かれて,藪の中にはいるが,想像したように,トレースはなく,雪と熊笹に足をとられ歩きづらい.雪の量は多くはないが,それでももぐるし,足が定まらないことがある.樹木に着けられた赤布と稜線通しを目途に高度を稼ぐ.この時期の日没がだいたい17時であるから,16時には行動を打ち切りたいと思いつつ進む.出発した時間が遅かったので,少しでも高度を稼ごうと思い登るが,かなり足がもぐり始め,時間も16時を過ぎたので,樹林帯の中でテントを張る.目いっぱいガスをたき,暖を取る.


12/24 1850m地点から爺が岳南峰,再度2300m地点下下降

ワカンをつける.出発するが,膝程度まではもぐり,笹をつかんだり,木をつかんだりして登るが,時にドンと腰まで落ちてしまう.救いは雪が水っぽくなく軽いことである.主に稜線の南端が歩きやすいのだが,積雪量が少ないのか,季節が早いのか,藪がうるさい.4月ごろだと快適かなあと思いつつ歩く.一人で黙々とラッセルをする.休むときには,下降時のことを考えて,手持ちのナビ(GPS)にポイントを記録していく.赤布が思った以上に多いので下降は安易かと思うが,とりあえず現在位置確認に加えて,登路をGPSに記録しておく.JPに着き,ここからは高度をほとんど稼ぐことなく,完全に樹林限界を越えるはずだと思い,歩く.眺望も良くなるが,JPから樹林限界まででルートを間違えたのか,ワカンをはいたまま,よく落ちた.もがくがもっと効率のいいもがきかたを知りたい.高度2300m,樹林限界を超えた.約6時間,ワカンで,一人で,トレースが皆無のなかでの登行であった.

ここでワカンからアイゼンにつけ替える.ガレ場歩きに近いのだが,この場合,アイゼンを着けて歩く方が好きだ.もう,このアイゼンでは畳の上を歩いても,畳にキズさえつかないくらい爪が丸くなってしまった.時間的にみると15時までが行動限界である.日没までの残りの時間は安全圏への退避に使うことになる.2300m地点から爺ヶ岳南峰2650mまで,広大な斜面をひたすら,まっすぐ登る.強風の中,視界内では,動くものは自分一人である.僕が憧れる情景の一つだ.どこを歩いてもいいのだが,一応ルートらしきものはあるようだ.でも,植生には気を付けるが,ルートは無視して歩く.南峰頂上に着く前に,稜線越しに剣岳が姿をあらわす,カッコいいものだ.南峰頂上14:45着.

どうするか.安全圏への3つの選択が浮かぶ.まず,ありえない選択は,冷池小屋への道である.日没までの2時間ではきついだろうと思い,たとえ,爺ヶ岳の残りの中,北峰を越えても,冷池小屋前の樹林帯まではギリギリか,間に合わない.次の選択は,種池小屋である.行ってみたい気もする.3つ目の選択は,再度,2300mより少し下の樹林帯までの下降である.明日の天気は,昨夜,携帯で手にいれた雲の状況図だと曇りか晴れのぎりぎりであると思われる.結局,来た道を戻るという3番目を選択した.先のことはテントで考えれば良い.南峰頂上から2300mより少し下降し,樹林を風避けに使い,テントを張る.残念ながら携帯は圏外.しかし,うまい具合にラジオが長野の民放をつかまえ,明日の県内各スキー場の天気を放送し,晴れと言っている.


12/25 2300m地点下から再度,爺が岳を経て赤岩尾根下降

晴れた.少なくとも午前中は快晴だろう.もう一度,高度差約350m爺ヶ岳・南峰まで登り返す.南峰頂上からは剣岳,手前に目を移して黒部別山,さらに,進行方向に目をやると鹿島槍ヶ岳が見える.その左に牛首尾根,そして,十字峡がうかがえる.時間的に見れば,鹿島槍ヶ岳への登頂は無理だろうが,赤岩尾根の下降はできるだろうと思い,冷乗越を目指す.中峰手前,足を止め,じっと見つめる.かすかにわかる夏道をトレースすることができそうだ.落ちれば,数百mの滑り台だからアウトだろうが,落ちなければいい.根気よく,中峰,北峰とトラバースを黙々と続ける.時に,夏道がわからなくなるが,雪にもぐらせることができそうなコースを選ぶ.途中,爺ヶ岳に突き上げる他の尾根の確認をする.北峰が終わっても,まだ続くトラバース.落ちたくはない.その向こうに下部に樹林が見え,その上部まで行けば,精神的には安心かと思う.その付近まで行くと,今度は,膝上以上にもぐってしまう.どうせ,距離は短いだろうと思い,アイゼンをつけたまま,つぼ足で歩く.股間節が固く,足がうまく操れないが,不思議につぼ足歩行が好きだ.

冷乗越で,今日3日目で帰るには鹿島槍ヶ岳はカットしなければならないことは時間的に明らかなので,赤岩尾根への下降点を探す.トレースは見当たらない.冷乗越最低コルからちょっと上がり,20m懸垂2回でコル下部の小さな尾根に着く.懸垂部分は上から見れば斜度がきついが,下から見れば,何で懸垂するのかといったような斜面だ.しかしながら,下部が切れ落ちているので,一般にロープの使用が勧められるのだろう.降りた尾根の末端までいくと尾根が切れていて,隣の尾根に移らなければならないことがわかる.エッと思う斜面が隣の尾根との間にある.これは50mロープでも届かないだろう.日はサンサンとあびているし,ヤバイと思うが,ここ2日間,降雪はないはずだと思い,まず,目でルートを切る.あとは、一気に横断する.トラバース後,ヤバかったと深呼吸する.今度は,多少,ガスが出てきて,尾根筋が読めなくなるが,踏み後が見当たらないのでしかたなく尾根通しに行く.このため,尾根先端で行き詰まり,引き返し,尾根の横を巻き気味に行くことを2、3度繰り返す.さらに幾分か下ると,踏み後らしきパターンが雪面上に見えてきた.高千穂平の手前では,完全にトレース後がわかる.さすがに,ゴタテの有名登降路である.高千穂平から見る鹿島槍はすばらしいの一言である.高千穂平から下部は明瞭なトレースがあり,それに従うだけである.登山口から大谷原,さらに鹿島部落まで歩き,16:45狩野さん宅で車を呼んでもらい,お茶をごちそうになった.日没した中,扇沢手前に止めた車まで行き,長野自動車道,中央高速道で,東京まで戻った.3日間,誰一人として会うことない楽しい山行であった.