白馬岳〜五竜岳/後立山連峰  

■日程:2006年8月12日〜15日(3泊4日)
■ジャンル:無雪期縦走
■メンバー名:N村H、Y(計2名)
■行程:
8/12 白馬八方(バス)猿倉−白馬尻/テント泊
8/13 白馬尻−村営頂上宿舎−白馬岳(往復)−鑓ヶ岳−天狗山荘
8/14 天狗山荘−天狗ノ頭−不帰ノ嶮−唐松岳−大黒岳−五竜小屋
8/15 五竜小屋−五竜岳(往復)−遠見尾根−アルプス平(テレキャビン)山麓駅(バス)白馬八方
(注) 当初は8/17まで(+予備1日)の日程で、針ノ木岳まで縦走する計画だった。



■山行記録:※正確な時刻は記録していません。

8月12日(土) 曇、10時すぎから雨、11時ごろから雷雨

朝8時ごろのバスで猿倉へ行くと、山荘前に登山相談所みたいなコーナーが作られていて、係の人が3人並んで座っていた。登山届の用紙には書かずに印刷した計画書を提出すると、どういうわけかていねいに見られて、しばらく待たされてしまった。危険な計画でないかチェックしていたのだろうか。
歩き出して30〜40分すると雨が降り出して、やがて本降りになった。雨具の上だけ着ていたのでズボンがぬれた。猿倉荘に入って行動食を食べながら待っていたが、雨はどんどん激しくなり、そのうち雷鳴が響き渡って滝を流したような降り方になった。こんな天気でも、みんな大雪渓に向かったのか、猿倉荘に留まる人は少なかった。
正午を回ったところで、前夜の寝不足も考え、猿倉へ泊まることに決めた。

8月13日(日) 晴、午前中から雲が多い

夜明けの30分前にはテント場を出ようと思っていた。前には単独の1人しかいなくて、私たちが2番目の出発のようだった。
早朝なので雪渓は凍って硬い。少し登って、傾斜が急になる前に4本爪アイゼンをつけた。4本爪は効果をあまり期待していなかったが、それでも相当歩きやすくなった。
1時間登って右岸の落石の来ないところで小休止し、もう1時間弱登ると大雪渓は終わりだった。ここから昨年の大崩落地帯を迂回して、左岸を高巻く秋道を登る。足場が悪くなり、転・滑落の要注意地帯である。対岸には杓子岳の崩れたボロボロの岩盤が見えていて、いつでも再崩落が起こりそうに見える。大雪渓は白馬村のドル箱コースだが、本来は一般向きでない危険なコースなのだと思う。昨年の落石事故があってから、大雪渓を登る人は減っているようだ。
巻き道が終わって旧道に合流すると花が多くなった。小雪渓をトラバースして避難小屋を過ぎ、水場に出る。おいしい水なのにだれも立ち止まらない。歩くペースが速すぎるのでは?と見える人が多く、登ることだけで精一杯のようすだ。
ここからの源頭部が白馬岳で一番きれいなお花畑だった。夏山シーズン最盛期だから、コースのどこにでもお花畑は見られたが、やはり白馬岳のお花畑は別格だと思った。花だけを見に、図鑑持参でもう一度来てみたいものだ。
稜線に出ると、本州では白馬岳と八ヶ岳にしかないというウルップソウの群落が多い(花は終わっている)。村営小屋に荷物を置いて白馬岳頂上を往復し、雷が心配だったが、やはり先へ進むことにした。稜線はどこまでもウルップソウが続き、杓子岳から白いザク斜面になるとコマクサもちらほらと咲いていた。


〔イワベンケイとウルップソウ、天狗平で〕


8月14日(月) 晴

天狗平は混んでいたことを除けば、快適そのもののテント場だった。雪渓から水が豊富に流れているし、小屋のトイレは清潔だった。稜線東側にあるのでテントの中からご来光を見ることもできそうだが、この日は早朝から雲が多く湧き出して、ご来光は見えなかった。
6時すぎに出発。日が昇るにつれて雲は消えてしまった。大展望のなか、幅広いおおらかな尾根を天狗ノ頭へ歩く。足元にはまたコマクサが揺れている。
白馬岳を中心とする大きな山塊は天狗ノ頭で終わり、ここからは山体を造る岩質がくっきりと変わる。これまでの白い岩(石灰岩質)に変わり、不帰ノ嶮周辺の岩は黒っぽい。
天狗ノ大下りで、けさ天狗平を出発したと思われる人たちを次々に追い越した。不帰ノ嶮はキレットというよりも、いくつもの岩峰を上り下りして行く。1峰、2峰北峰、2峰南峰、3峰と越えるが、2峰南峰〜3峰あたりがきつかった。見るべき花も少なくなり、淡々と岩場をこなしていくだけだ。それにしても、岩場の素養の全くなさそうに見える人たちが、この危険なコースを当たり前のように行き来している。遭難事故が多い理由の一端をハッキリと見る思いがした。
唐松小屋で先へ進もうか迷ったが、やはり五竜まで行くことにした。
八方尾根エリアから離れると、相変わらず登山者は多いものの、それまでに比べるとずいぶん静かになったように感じた。3000m近くから森林限界以下まで下り、さらに2700mぐらいまで登り返す。前後を歩く人たちの多くがバテているように見えた。バテている人は歩くペースが妙に速くて、長続きせずに止まってしまうのですぐわかる。
Yも大黒岳あたりから疲れが目立つようになっていた。
稜線から見る山々の姿は張りが大きく迫力がある。五竜岳も唐松岳もとてもよかった。このへんの風景は、以前に縦走したときには悪天候か何かで見ていなかったかもしれない。
休み休み歩いてようやく五竜山荘に着いた。午後3時半ごろで遅くはないはずだが、狭いテント場はほぼ埋まっていた。私たちは小屋の横(登山道近く)に張らせてもらった。その後に着いたテント泊の人たちは、小屋の前の広場にも張っていたようだ。
この日の夜、Yの疲れぐあいを見て、遠見尾根を下山することに決めた。


〔天狗ノ頭信州側の断崖、不帰1峰から〕


8月15日(火) 晴

小屋の前でご来光を見て、ゆっくり朝食を食べ、それから五竜岳へ向かった。
これまでで最高の天気になった。五竜の頂上からは立山・剱岳はじめ北アルプス全域、乗鞍、御岳、南ア、富士山、中ア、八ヶ岳、浅間、四阿、戸隠・高妻、妙高・頸城、と見えていた。私は何度も見た眺めだが、Yは初めてだと感激していた。
テント場へ戻り、荷物をかたづけて遠見尾根へ向かった。遠見尾根は由緒正しい登山コースで、始まりこそテレキャビンがあるものの、大半は長い長い登下降に終始する。上部にはお花畑があり、天狗菱の岩場を前景にした五竜岳の姿がすっきり見える。その姿は、位置を移すごとに刻一刻と変化していく。まさに五竜に登るためにある尾根だと思う。
豪雪の影響で、高度が下がっても尾根を覆う樹木はまばらなため周囲がよく見える。カクネ里を前景にした鹿島槍の有名な姿は、残念ながら稜線が雲に覆われて下半分しか見えない。隣の八方尾根では、パラグライダーがふわふわ飛んでいた。
結果的には予定の半分ほどで終わったが、十分に歩いて山を楽しみ、いろいろなものを見てきた。納得のゆく中身の濃い4日間だった。無理にがんばって針ノ木まで行かなくても、これはこれでよかったのだと思った。


〔五竜小屋の日の出〕

■情報:
●大雪渓のコース
大雪渓上部から葱平へ上がる部分は、落石が危険なため、左岸へ登る巻き道がつけられている。このコースは狭いうえに足場が悪く、けっこう危険なので注意したほうがいい。混み合っているときは人為落石に注意すること。
なお、白馬大雪渓では落石が多く、毎年落石による事故が起こっている。雪渓上では漫然と歩かずに、つねに落石のくる方角を警戒する必要がある。悪天候で上部が見えないときや、フードをかぶっていて物音が聞こえにくいときは特に危険である。
●不帰ノ嶮、岩場の危険
岩場自体はやさしいものだが、なにぶん多数の登山者が往来しており、そのなかには岩場が苦手な人、不慣れな人、危険への配慮ができない、落石を起こしがちな初心者、というような人たちが普通に混在している状況だった。転・滑落事故が多発しているのは、このへんに根本的な原因があるのだろう。自分自身の登降技術に問題がないとしても、他の人の行動が引き金となって事故が起こることもあるだろう。
●遠見尾根
1カ所、尾根の南側が大きく崩壊しており、樹林帯のなかに踏み跡がつけられていた。今年7月の水害で崩壊したものと思われる。遠見尾根は水場がなく、樹木が薄いので真夏の日当たりは相当きびしい。脱水症には要注意である。
●テント指定地
山小屋が過剰なほど整備されているわりには、テント場の整備は不十分で、テント泊は冷遇されているといえる。テント場はどこも狭く、ハイシーズンにはすぐ埋まってしまうようだ。遅く到着すると条件の悪い場所でがまんしなくてはならない。五竜小屋では小屋の周囲にも張らせてもらえたので、場所がない場合は申し出てみるといいかもしれない。
指定地以外でのテント泊は、きびしく監視しているようだ。14日午後3時ごろ、監視員と思われるスタッフが五竜小屋から唐松方面へ猛スピードで歩いて行った。また、14日夕方、五竜小屋を通り過ぎて唐松岳方面に向かった登山者は、小屋のスタッフに呼び止められて、何やら長々と話をされていた。
五竜小屋から南下する場合は冷池山荘まで指定地がなく、この間は標準タイムで9時間20分ほどの行程になる。これを歩ききれない場合はキレット小屋に泊まらなくてはならない。キレット小屋周辺はテント禁止である。




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