中央アルプス/駒ケ岳・宝剣岳・空木岳

2010年6月13日(日) 〜 2010年6月14日(月)

行動予定:
6/12(土) 東京→駒ヶ根高原駐車場(テント泊)
6/13(日) 駒ヶ根→しらび平→千畳敷→駒ケ岳→宝剣岳→檜尾小屋 【計6時間40分】
6/14(月) 檜尾避難小屋→木曽殿越→空木岳→池山→駒ヶ根高原  【計9時間40分】
エスケープルート:檜尾小屋→檜尾橋【4時間15分】

メンバー:M鍋・S村・M藤・F井

 今回M鍋さんより変則日程のお誘いが入る、土曜の夜に東京を出て月曜に戻るという日程。一昨年の秋に宝剣は山頂までのピストンだったのでその先は行っていないが空木から池山尾根経由で駒ケ根高原までは歩いているのでどうしようかと考えていたが、木曽駒・宝剣はこれから先よっぽどのことでもない限りもう行く機会はないかも・・・。時間のほうはなんとでも都合がつく状況なので参加決定。

 6月12日19:00新宿スバルビル前集合。M藤車で一路駒ヶ根を目指す。22:30駒ケ根菅ノ平バス停駐車場到着。土曜の夜だと高速もこんなものなのかと思うくらいすいている。高速を降りバス停横の駐車場を探すが真暗でよく分からず行き過ぎてしまう。一昨年の記憶を頼りにこの辺とあたりをつけて暗闇の中を見回すとすぐそこに駐車場があった。駐車代金1回500円(1日ではない)を支払い駐車場の中へ、広い駐車場の中にはほとんど車はいない季節的に早いのだろう、きっと7月の梅雨明け頃からは満車になってロープウェイも2時間待ちとかになるのだろうか。我々がテントのセッティングをしているとワゴン車が一台やはりテント支度をしているのが見える、明日の朝同じ行動をする人たちなのだろう。テントの中に入りビールで乾杯をしているともっと涼しいと思っていたのだがテントの中は思いのほか暑くフライをはずしてちょうどいいくらいだ。フライをはずし涼しくなったところで明日に備え眠りに付く。

 6月13日6時起床 朝一番のバスは7時12分なのでそれに合わせ起きる。シラビ平行きバス乗り場にはすでに10人以上の人が並んでいる。我々も支度を済ましバス停に急ぐ、ここでバスとロープウェイの片道の割引切符(1980円)を購入し列に並ぶ。朝一のバスの割には混んでいる、きっとシーズンになったら満員になるのだろう。シラビ平駅で始発のロープウェイをしばらく待ち8時の始発に乗り込み千畳敷へ。8時7分千畳敷駅到着ここで支度を済ませ8時20分出発。カールにはまだ雪が1メートル以上残っているがのぼりが始まるところまでは踏みあともしっかり付いていて順調に進む。そろそろ登りがきつくなって来るが周りには大きな落石がごろごろしていてもうすこし安全なところまで頑張りアイゼンをつける。ここからの登りは夏道だとジグザクの登りのはずなのだがすっかり雪の中に埋まっていて雪の斜面をまっすぐに登るルートになっている。

       

 雪の斜面を半分以上も登っただろうか、夏道が現れここでアイゼンをはずしジグザクにつけられた夏道をひと登りしたところで乗越浄土に出る。目の前に宝剣の小屋が見えその奥に中岳・木曽駒があるはずだがここからではよくわからない。9時30分宝剣小屋到着、小屋の横で休憩をしとりあえず不要なものを岩陰にデポする。このときに持ってきた金麦の缶を転がらないようにとアイゼンケースの中に入れたのが後で大失敗を招くこととなるとは思いもよらなかった。ここから先はところどころに残雪が残っているが特に問題もなく順調に進み10時10分木曽駒が岳山頂到着。

       

 山頂という割にはなんだか広場のようなところだ、雲が多く展望はあまり良くないが雲の切れ間から御岳・南アルプス・八ヶ岳の山並みが望める。南アルプスの山々の連なりは普段見ているのと方角が違うせいか新鮮な眺めだ。木曽駒の頂上を楽しんだ後荷物をデポした宝剣小屋まで戻り荷物を再度ザックにつめ出発。今度は宝剣への登りだ、11時に宝剣小屋を出発ししばらくは残雪の中を進む。岩場に雪が付いているといやだなと思いながら進むが、岩稜帯に入ると雪は全くなく一安心。ステンレス製の鎖もしっかり付いているが慎重に岩場を通過し11時30分宝剣山頂に到着。

        

 ここまでは前に来ているので様子が分かっているがこの先の下りがどうなっているのかどんな下りなのだろう。山頂での記念写真を撮り11時40分山頂を出発し下りにかかる。ここからの下りが思った以上に急で神経を使う、ほとんど垂直な岩場に鎖が付いているところの連続。一歩まちがえばそのまま転落といった感じ、多少時間はかかっても慎重に下りやっと平らなところまで出て極楽平の分岐まであと一息。12時30分極楽平分岐到着ここで小休止、千畳敷の駅からの登りもまたびっしりと雪が付いていて急な登りだ。ここで何か食べようとザックをあけるとなんだか中が濡れている。アイゼンに付いた雪が溶けたのかとアイゼンケースを開けてみるとなんだか匂う、宝剣小屋脇で荷物をデポした時にアイゼンケースに入れたまま忘れていた金麦がアイゼンの歯で缶に穴が開き中身が漏れたのだ。炭酸の抜けた金麦を捨てるものもったいないので一口づつ飲んでみるがひどくまずく大不評、でも1本は無事だったのが救いだ、さぁ気を取り直して出発することに。12時50分出発してまもなく先頭を歩いていたM藤さんが声を上げる、なんだろうと皆が近づくとM藤さんの靴底が剥れている。

        

 うわさには聞いていた経年劣化による靴底の剥れだ、岩場の通過中でなくてよかった。とりあえずの応急処置として靴紐で縛ることにしてこの先どうするかを検討。M藤さんだけここから引き返しロープウェイで下山するか、今日の行動予定の檜尾小屋まで行き明日ロープウェイで下山するか。ここから先はそれほど大きな登りもないので檜尾小屋まで行動をともにすることにして、明日の天気を見ながらその先のことは考えることにする。小さなアップダウンを繰り返しながら檜尾小屋を目指す。途中二箇所ばかり残雪が残った箇所のトラバースがあり慎重に越し、14:35濁沢大峰・16:35桧尾岳山頂に到着。天気は曇りで雨はかろうじて落ちてこないが回りはガスで徐々に視界が悪くなり、檜尾山頂に着いたころには回りは全く見えない状態になっている。晴れていればここから檜尾の小屋が見えるのだが全く見えない上に、ここからの下りはしっかりと雪が残っている。最初の雪渓を下り夏道まで出るがその先の急な斜面に雪が付いている。ガスが晴れるのを待ちながらアイゼンを付ける、小屋の方角がガスに消され分からない。ガスが一瞬晴れ小屋の方角が分かる、以前来ているS村さんが次の雪渓を下るのが夏道であると言う。この雪渓が急で6本爪の軽アイゼンで下るのはかなりきつい、この下りで時間はかかったが安全を考え慎重に時間をかけて降りやっと檜尾避難小屋に17時10分到着小さいがきれいな小屋である。本日の行動終了お疲れ様でした、あと明日のお天気がどうなるのかで行動を決めることにする。雨でなければ長丁場だが、空木を越え池山尾根経由で駒ケ根高原の駐車場まで10時間近い行動となるので早起きをすることに決める。20人も入れば満員の小さな小屋だが今夜は完全に貸し切状態、我々だけなので荷物も散らかし放題でのびのびと使わせてもらう。明日は早出になることを想定して今夜は早々に寝ることにする。

        

 6月14日 4時 小屋に吹き付ける雨音で目を覚ます。台風並みとは言わないがすごい風と雨のようだ。M鍋さんが様子を見に外へ出るがこの段階で早出は断念、強い風雨のため空木への縦走は無理とあきらめお天気の回復を見ながら出発の時間を決める。ゆっくりと準備をしながら表の様子を見ていると、7時を廻った頃から少し雨脚も弱まってきたようすなので出発の準備にかかる。

   

 7時55分雨具を着込んで表へ出ると雲は相変わらず垂れ込めているが風もなく雨もほぼ上がったようである。今日は檜尾尾根をくだり下山だが心配なのは途中の雪の残り方とM藤さんの靴の状態である。ハイマツの中を下ってゆくと大きな雪渓が残っているがここは斜面もゆるく問題なく通過、水場はこの付近のようだが残雪の下のようだ。水は各自3L 担いできていたので問題なかったが、もし水場を当てにしていたら雪を溶かして用意するしかなかっただろう。途中2箇所ほど雪渓で道を失いGPSで道を探すところもあったが道迷いなどもなく順調に高度を下げてゆく。12時を過ぎた頃から川の流れの音が大きくなりバスの道も近くなったのが分かる。12時30分には下の道路に出る、ここから少し下ったところがバス停だ、中部電力の作業小屋が見える。舗装道を下っていると後からバスの音がする、急いでバス停まで行き待っているとなんと団体専用の貸し切りバスだ。バスの中からもう少しすると定期バスが来るとアナウンスがありバス停の時刻表を見るとあと15分ほどでバスが来る。雨具を脱いだりと荷物を片づけをしているとちょうどそのときバスが来る。乗り込むとなんと乗客は我々だけ、ここでも貸しきり状態だ。駒ケ根高原の駐車場到着止めておいた車に行き荷物を片付け車に残しておいた金麦で乾杯して駐車場のすぐそばのこまくさの湯に移動、温泉で汗を流しすっきりした後駒ケ根名物のソースかつ丼でお昼にする。こまくさの湯前にもソースかつ丼の名店「明治亭」はあるがせっかくなので本店に行く。15時10分遅めのお昼をここですませ帰路に着くことにする。
 今回はM藤さんの靴のアクシデント、長丁場の最終日の悪天候などがあり空木はいけなかったが全員無事に下山ができいい山行ができたと思う。余談ではあるがM藤さんの靴は完全に壊れたが、S村さんの靴とF井の靴もそろそろ限界だったのか靴の中に水がしみてきていた。帰ったら靴を買い換えなければならないだろう、長期縦走中でなくてよかったかもしれない。とりあえずいろいろありましたが楽しい山行で皆さんありがとうございました。
(報告:F井)


ー報告 その2ー

6月12日(土)

記録をみると、中央アルプスの木曽駒ヶ岳は28年ぶりだ。まだ山を始めてすぐの頃の1982年7月に後輩の(山は先輩の)N氏と一緒に登ったことがある山だ。その時は、ロープウェーを使わずに登った。今回は、1泊2日で木曽駒ヶ岳〜宝剣岳〜桧尾岳〜空木岳〜池山尾根下山という強行軍なので、ロープウェーを利用した。前夜発の行程は山再開以後2回目で、1回目の火打・妙高で駐車場で苦労したので、駐車場が見つかるだろうかとか心配したりしたが、行ってみたら大きな駐車場があった。むかし駐車場で苦労したことはない。昔の記憶が戻ってきた。大雨の夜、ガソリンスタンドの屋根の下にテントを張ったことがあった。店主が夜中に帰ってきてびっくりし、早朝に出ますのでといって、そのままいさせてもらったことがあった。またある時はもう車が来ないだろうと道にテントを張ったら、車が来て、慌てて動かしたことがある。今回はそんな心配はない。大きな駐車場の隅にテントを張った。よく見ると、反対側の隅にも山屋のグループがテントを張っていた。山屋は隅が好き、というわけではなく、邪魔にならないようにしているだけ。テントに入って軽く一杯やってから就寝。土曜夜19:00の新宿駅集合だったが、このパターンならば、土曜日の仕事のあとからでも少しは‘わたぐも’の山に参加できるかもしれない。ただし、今回のように月曜日まで含めることができるケースは少ないだろう。

6月13日(日)

7時12分のバスに乗るため、5時40分起床。朝食を済ませ、テントはたたんで車の中に入れておけばよいので簡単だ。バスとロープウェーを乗り継ぎ、いざ千畳敷の雪渓に踏み出す。最初はなだらかで、10分も歩くと急斜面の登りが始まる。6本爪のアイゼンを着け、快調に登る。ロープウェーの中からスノーシューを担いでいたカップルがいたが、本当にスノーシューで登ってきた。よっぽどスノーシューが好きなのか、単に使い方を知らないだけなのか……。もう一つ記憶に残っているのは、山スカートの女性をみたこと。山スカではなく、「ババスカ」と本人も言っていたとのことだが、これ以上書くと山スカのイメージを損なう可能性があるので、これだけにとどめておきたい。

     

宝剣小屋の影に荷物をデポして木曽駒ヶ岳へ向かう。さすがに荷物が軽いので、コースタイムを短縮した。頂上で記念撮影の後、宝剣山荘に戻り、荷物を戻して、宝剣岳に向かう。鎖場をいくつか通過して、慎重に登り、頂上に。記念撮影して(写真)、早速下りにかかる。難しいことはないが、しっかり確保しながら降りないと危険だ。慎重に下って極楽平に。しばらく休んでから、桧尾岳への尾根ルートに向かう。最初のころは快調な下り。しかし、しばらくすると、足下がおかしい。よく見ると、靴のビムラムソールのつま先側がはがれてきている(写真)。

       

かかと側はまだついている。予備の靴紐を取り出し縛ることにするが、みんなはもうダメだから、戻ってロープウェーを帰った方がいいと言う。
私は1人で帰るのは嫌だったし、大丈夫そうなので、とりあえず桧尾岳避難小屋まで行って、そこで靴の状況をみてからまた判断することにして、4人で桧尾岳に向かう。快適な下りが続いた後、濁沢大峰への登りが始まる。けっこう登りがいがある。ガスが出てきたりして、視界も悪くなった。靴底に注意しながら登っていたが、遂にかかと側もはがれてしまった。S村さんの靴もソールの一部がはがれ出している。F井さんの靴もだいぶくたびれている。ソールを3回も張り替えたという優れもの。M鍋さんから靴紐をもう一本借りて、しっかりと結びつける。ところが、桧尾岳に近づいてくると、尾根ルートでも左側によると雪渓の残っているところがあり、アイゼンを着けたりする。アイゼンを着けると、ソールと靴はしっかりするが、いよいよ靴の中が濡れだした。当然防水性が低下しているので、仕方ない。最後の桧尾岳の登りもけっこう登りがいがあった。ガスの中、頂上に到着。先行したF井さんが見えない。大きな声で呼ぶと、避難小屋に向かう雪渓から右に分かれる夏道の上で、アイゼンを着けていた。F井さんは、ガスの切れ目に一瞬小屋が見えたので、この雪渓を降りていくのがいい、という。この夏道を進んでもすぐに雪渓になってしまうので、こちらを降りた方がいい、という。そこにS村さんがやってきて、夏道をすすんでから雪渓を降りた方がよい、と主張し、それに従う。ところが、その雪渓をすすむと、けっこう急な斜面が出てきた。ガスで小屋がわからない。

      

GPSでルートを確認しながら、降り始めようとしたところ、先頭のF井さんが滑る。ストックで止まったが、それをみたM鍋さんが弱気になってしまい、ブッシュとの境の部分をS村さんがルートを作るが、なかなかおりられない。私がこの程度の斜度なら大丈夫と先に進んで降り始めると最初はよかったが、やはり滑ってしまい最後は尻制動。なんとか全員無事に降りて、避難小屋に到着。予定時間をオーバーしたが、明るいうちに小屋にたどり着いた。小屋はさすがに快適。4人だけで広々と使って、シェフF井・コックS村の料理を楽しんだ。麻婆ナス、野菜炒め、キュウリとワカメと海老の酢の物、中華スープ、それに麻婆ナスをまぜたご飯。ビールで乾杯。その後はいつものウィスキーお湯割り。ところで、問題となったのは、翌日の行動。私の靴はもう持たないだろうから、私は1人で下山する。ルートはロープウェーまで戻るか桧尾尾根を下るか。残る3人は、天候が良ければ、当然予定通りのルートを行く。ところが、夕食の頃から雨が降り出した。明日の朝の状況で判断することにして、就寝。予定のコースは長いので3時起床の予定。
6月14日(月)
なかなか寝つかれず、雨音と風音を楽しむが、けっこう降ってきた。朝まで回復する見込みはなさそうだ。朝になっても雨は止んでいない。空木岳を登っていないM鍋さんが予定のルートを主張するが、しかしながらこの天候では難しい。話し合いの結果、皆で桧尾尾根を下ることになった。ならば、もっと寝られるが、5時半に起床して準備する。朝食は、中華スープのオジヤ。昨夜の野菜炒めの残りが入り、けっこう豪華な野菜中華オジヤ。せっかく銀杏(ぎんなん)を持ってきたのに、嫌いな人が約1名。かに缶が入って、美味しいオジヤをいただいた。雨具を着込んで、ソールをしっかりと靴に縛り付け、避難小屋のカンパを1人千円ずついれて、出発。しばらくは問題なく進むが、やがて雪渓がルート上に残っていて、降りづらいし、ルートが不分明。途中、GPSを出してルートを確認しながら下る。地図にも(迷)のマークが2か所もあり、そうしたところはあちこちに踏みあとがあり、どれが本当のルートがわからない。尾根ルートとしては明確なので、その意味では大きな事故にはならないだろうが、ミクロにみると、先人たちのヤブコギのあとに気づく。皆さん、苦労したようだ。しかし、4人だと誰かがルートを見つけるので、それほど困らない。1人で降りることにならずによかったとつくづく感じた。2000m地点を過ぎると、さすがに雪渓もなく、道も明確になって、とはいえ歩きづらいところやハシゴが何カ所かあったが、イワカガミの群生を楽しみながら、無事に林道まで下山。するとバスが来る。急いで走ってバス亭まで行くと、団体バスなので乗車できませんとアナウンス。バスの中の団体客が手を振っている。本当は無視したいが、笑顔で手を振り返す。でもすぐに本当のバスがやってきて、駐車場へ。荷物を整理し温泉着替えを出して、こまくさの湯へ。ゆっくりと温泉につかってから、車で明治亭へ。S村さんが山行中に何回言ったかわからないソースカツ丼を4人そろって食べ、帰路についた。

  

(報告 M藤)