赤岳感想文  記=「杉」

2010/7/31
■am6時
 練馬駅待ち合わせにて。M元さんの車がまだのよう。ここはひとまず準備体操して待っていよう。いっち・にい・さん!・・・何がおっぱじまったのか心配したのだろう。パーキングのおじさんに「どこに行くんだね?」と声をかけられた(笑)「八ヶ岳です!」ココロの中では同時に「生きて戻ってきます!」と練馬駅ガードルに誓いを立てる小心者の私であった。車内でM元さんの後輩のUさんとその友人のMさんと初顔合わせ。F井さんを乗せて高速に入る。
■am11時
 美濃戸口駐車場:やまのこ村に着きあずさで来られたN村さんと合流する。駐車場は既に満杯、入金予約をして頂いたM元さんに感謝。高速の渋滞で到着はやや遅れ気味だ。
 しばらくはシラビソの原生林のような雰囲気の苔むした樹林帯の中、川沿いにマイナスイオンを感じて南沢を登る。車の中で確認した地図の等高線通りかな。木の匂い&山の空気をしみじみと味わう。UさんとMさんはお二人まるでペアルック。緑のリュックと小物が木々に溶け込んでいた。
 M元さんにお花の名前を教えて頂く。白くうなじを垂れたオダマキソウ、首長のキリンソウ、ホタルブクロにフウロ・・・M元さんに同行させて頂くとたくさんのお花を見つけることができてうれしい。この間別の山で見たかわいい白い山野草がここではたくさん咲いていた。名前がわからないので勝手に名づけた。猫じゃらしそう。このほうが覚えられそうだ。(注:後ほど名前をW林さんに教えて頂きました。トリアシショウマと呼ぶそうです)
■am13:05
 川が三股に分かれる開けた場所で昼休憩。ようやくこれから登る山々が間近にそびえたつ。ばてないよう腹ごしらえだ。おにぎりがおいしい。
■pm14:05
 行者小屋着。これから登る山の稜線が眼前だ。ひと休憩しながら険しい(と思われる)切り立った崖をあがっていく小さな人の姿を眺める。鎖場の登場だ。あれを本当に登るのだろうか。鎖初体験の3女子:U&M&S。事前にネットで赤岳の鎖場を調べてしまった私とUさんはその怖さを予測してしまった。高所恐怖症のUさんはN村さんにハーネスをつけて頂きやや安堵したようだ。本格的なお道具を見るとこんなものが必要なレベルなのか、と私も心もとない。
 M元さんがおにぎりにあたってしまった。おまけに突然雲行きもあやしくなってきた。本当に全員最後まで登れるのだろうか?不安が募ってゆくなかN村さんの「ゆっくり行きましょう」のご指導に落ち着きを取り戻し、ストックをかたづけていざ出発。地蔵尾根に向かう。
 N村さんに事前に配布された「岩場・鎖の注意事項」を実践する時がきた。梯子は一人ずつ、1歩1歩落ち着いて。心で反復する。みんな少し寡黙になっていると、梯子の上で突然不思議な笑い声をあげるUさん、思わずこちらも笑ってしまった(ごめんなさい)。
 カミキリムシを発見した。踏みそうになった。怖かった。
 胃液を戻して辛そうだったM元さんが復活した!すごい、早い!
 やがて森林限界を超えたのか樹林がハイマツに変わる。シャクナゲの木も多い。岩場には紫のチシマギキョウが雨露にぬれて首を垂れている。
 地蔵ノ頭(地蔵尾根分岐)近くで雨がぽつりと来た。天気予報があたった。小屋に駆け足で入り込むとやがて夕立がきた。濡れずに鎖と梯子を通過できてラッキーだった。小屋近くではコマクサに会えた。
■pm16時頃
 宿泊地の赤岳展望荘も満室。1週間前にネット上では満室だった小屋にM元んが直接電話で予約をとったそう。部屋にはシュラフが敷き詰められ多分一人一畳はないだろう。どの部屋もぎゅうぎゅうのよう。
 談話室で持ち寄りの宴会が始まる。ジャックダニエルを荷物に忍ばせたF井さん、山のいっぱいがこんなにおいしいなんて。Uさんも大喜びです。
 夕食はバイキング形式。山菜の天ぷら、豚しゃぶ、きのこ、お漬物、豚汁に杏仁豆腐。ごはんも飲物(コーヒーとお茶)も食べ放題だ。宿泊券代わりに頂いたカップの色で食事の時間制限を行っていた。なるほど、少ない資源の中で生きる人の知恵か。お風呂があるので入ってみた。5人ほどは入れる石釜だろう。すのこの上に重石がおいていた。本当の五右衛門風呂だ。山小屋でこんなお風呂に入れるなんて!後でF井さんからこの石釜が茅野市名物の寒天作りに使っていたものだったと聞く。何人分の寒天ができるのか??見てみたいものだ。風呂組の私とMさんを除き皆さんは宴会モード(M元さん、復活早すぎます)。20時就寝。ご来光登山に向けていそいそと寝る。

2010/08/01

■am?
カミキリムシ!―――――自分の寝言にびっくりして起きた。皆さん起こしてごめんなさい。昔見た芝居(寺山修司)の怖いイメージが強烈で本物とダブって夢に出てしまいました。
■am3時半
 起床。昨夜の雨がうそのようだ。ご来光を期待して赤岳山頂を目指す。暗闇で周囲が見えないのが梅さんには幸いした。岩の急斜面と鎖は多分昨日よりきついと思った。4時半前、山頂に着く頃にはヘッドランプはもう必要のない明るさになっていた。南峰山頂に立ちご来光を待つ。富士も見えるそうだがやや雲が多い。4時52分、お日様が雲海よりお顔を出された。
 小屋へ戻る時には朝日は既に日中の日差しと変わらない。今日は晴れるだろう(そして焼けるだろう)。赤岳天望荘が直下に見え暗闇で登ってきた鎖の実態が見える。こんなところを登ってきたんだ!
 6時頃。小屋に着いて朝食準備。お湯をわかして頂き各自ごはん。Mさんの朝食:マジックライス(しそわかめごはん)をご相伴させてもらった。意外とおいしくてびっくりだ。
■am7時
 出発。横岳へ北上する。大小の岩岩。鎖や梯子が続く岩稜。これから登る道を見てこれを登るのか?と心配し、これまで登った道を見てはこれを登ってきたのか!といちいち感動する。ぐるぐると道を巻いていたが連続する岩場に緊張していたためどう回っているのか、コース確認する余裕などなかった。ただ目の前の横岳の岩の険しさと人の渋滞がこの道の危険性と緊張感を教えてくれた。
 岩場には可憐なお花がとりどりだ。アルペンロードのような道と高山植物に出会える山。うれしい。白く可憐なタカネツメクサ、たった一輪M元さんに見つけて頂いたオヤマノエンドウ、岩間に小さな花を寄せ合うイブキジャコウソウ・・・
 ハーネスに頼らずUさんもがんばっていた(途中奇声が聞こえたが(笑))。N村さんはいつも冷静で「落ち着いてゆっくり」とお声をかけて頂ける。きょんさん・F井さんにも登り方、歩き方のコツを教えて頂いた。そそっかしい性格が災いするかと思ったが、何とか無事横岳山頂に登りつくことができた。
■am10時
硫黄岳に向かう広々とした稜線は砂礫の道。西側斜面にはコマクサの群生。見事だ。F井さんから女王様は生存競争に弱いため、あえて他の植生が生きることができないこの地を選んだと聞く。この厳しい生存環境で女王様は孤高にただ美しい。一輪、乳白色(ミルキー)色のコマクサをF井さんに見つけてもらった。八ヶ岳の特種らしい。
 硫黄岳山荘前で小休憩をとり硫黄岳へ。11時頃硫黄岳到着。山頂はやたら広い。方向がわからなくなってしまうような広さだ。眼下に火山の爆裂口。サスペンスの舞台になりそうな地形。山頂を下りると安全で広い道になったので俳句を作ってみた。

  コマクサの女王にまみえる山砂漠     字あまりです。



■11時半頃
 下山はすぐに樹林帯に突入する。M元さんがたくさんきのこを見つける。目がいいのだろうか。ジゴボウ(?)というカレー粉をまぶしたようなきのこを2つ摘んで持ち帰っていた。らっぱきのこや緑色のきのこ、しめじに似た食べれそうなきのこ、きのこ。この季節にもきのこは生えているんですね。やがて名前をよく耳にする赤岳鉱泉。BBQがセットされていたりと随分贅沢な山小屋のようだった。

■14時半頃
 北沢を降りて美濃戸に到着した。もみの木湯で汗を流してN村さんを茅野駅に送り東京に戻った。

最後に。皆様、こんな初心者ばかりを赤岳レベルにまで連れて行って頂き本当にありがとうございました。みんな無事に硫黄岳まで縦走ができたなんて本当に驚きです。N村さんの安定した歩調で疲れと怖さを覚えず登ることができました。F井さん、山中いろんなお話ありがとうございます! M元さん、たくさんのお花を教えてもらってもっともっとお花が好きになりました。Uさん、Mさん(と私)、よくがんばりました!!
では山女2(+1)名より、究極の感想を一言ずつ。

U:山頂ウィスキーがこんなにおいしいなんて!
M:意外とイケメンが多かった!
S:カミキリムシ〜(涙)

最後に赤岳への一句。

  花いちりん岩場にもゆるいのちかな     お粗末様でした。



【時間の記録】 記=M元
7月31日(土) *晴→霧(ガス)→夕方から雨
練馬駅6:00集合=首都高永福6:50=美濃戸11:00着
美濃戸出発11:20−12:15(休)12:20−13:05(休)13:20−行者小屋14:00着/14:40発−赤岳天望荘着16:00
8月1日(日) *晴→曇り→霧(ガス)
赤岳天望荘3:55発−赤岳山頂4:25着/5:02発−赤岳天望荘5:45着/7:00発−7:55(休)8:00−−8:45横岳手前9:00−横岳(奥ノ院)9:12−9:50(休=大同心稜分岐)9:55−硫黄岳山荘10:25着/10:40発−硫黄岳山頂11:15−ジョウゴ沢付近12:30着/12:45−赤岳鉱泉13:00−美濃戸14:40着 ※ジョウゴ沢付近で休んだ場所は、正確には裏同心沢出合です。

【付記:チシマギキョウについて】 記=N村
チシマギキョウとイワギキョウは、ホタルブクロの仲間の高山植物で、中部山岳と北海道の高山にしかないそうです。似たような環境の岩場に生えているうえ、花の色も形もよく似ていますが、大きな違いは花冠の縁に毛があるのがチシマギキョウ、ないのがイワギキョウです。またイワギキョウは少し花が上向きについています。私の経験から、これらキキョウの仲間やトウヤクリンドウが咲きだすと、高山の短い夏も終わりになります。